歴史と真実、愛と選択。双子の兄弟が描くレーエンデの英雄の物語『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』

こんにちは。今回は、2023年10月18日に発売されたばかりの多崎礼さんの新作ファンタジー小説『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』を紹介します。

この本は、シリーズ累計13万部突破の大人気作品『レーエンデ国物語』の第3巻になります。

前作『レーエンデ国物語 月と太陽』から2ヶ月後の続刊です。

この本の内容や魅力について紹介したいと思います。

目次

書籍紹介

『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』は、多崎礼さんの王道ファンタジー小説です。

『レーエンデ国物語』シリーズは、2023年6月に第1巻『レーエンデ国物語』が発売されて以来、各界のプロや書店員から感動の声が続出している大注目の国産本格ファンタジーです。

公式サイトでは、試し読みやイラスト、キャラクター紹介などが見られます。

あらすじ

本書は、以下のような章立てになっています。

目次

序章

  1. 歪んだ鏡像
  2. ミケーレ・シュティーレの依頼
  3. テッサを探して
  4. 赤い頭
  5. 知られざる者
  6. 憐憫と懊悩
  7. 天才と凡人
  8. 喝采か沈黙か

終章

レーエンデは、現在は衰退している地域です。

レーエンデの人々は、自分たちの国の本当の歴史を忘れてしまっています。

この本の主人公は、ルミニエル座という劇団に所属する俳優のアーロウと、その双子の兄で天才劇作家のリーアンです。

二人は、母に捨てられた過去を持ち、愛を知りません。ある日、リーアンは、特権階級の演出家から戯曲執筆の依頼を受けます。

選んだ題材は、レーエンデの英雄であるテッサという人物です。

テッサは人々を勇気づけた伝説の人物ですが、その真実は誰も知りません。

リーアンとアーロウは、テッサの真実を知るために、レーエンデの各地を旅します。

旅の途中で、二人は様々な人々や出来事に出会います。そして、自分たちの運命やレーエンデの秘密に気づいていきます。

はたして、二人は真実を見つけることができるのでしょうか?そして、二人は愛を見つけることができるのでしょうか?

キャラクター紹介

アーロウ・ランベールルミニエル座の俳優で、リーアンの双子の弟。明るく素直な性格で、人気があります。しかし、自分に自信がなく、兄に依存しています。ルミニエル座では、主役を演じます。

リーアン・ランベール劇作家で、アーロウの双子の兄。自己中心的な性格で孤独でありながら、天才と呼ばれる存在。素直な感情を表に出さず、人と距離を置いています。テッサを題材とする戯曲では、作曲と脚本を担当。

テッサ:レーエンデの英雄で、伝説の斧使い。「レーエンデに自由を」と、革命を起こし人々を勇気づけました。しかし、その正体や動機は謎に包まれており、リーアンとアーロウの旅の目的となります。

マレナ:ルミニエル座の女優で、アーロウの頼れる存在。美しく優しい性格で、アーロウを支えます。ルミニエル座では、ヒロインを演じます。

ミケーレ・シュティーレ:イジョルニ人の演出家。野心的な性格で、リーアンに戯曲執筆の依頼をします。テッサを題材とする戯曲の演出をします。

テーマとメッセージ

『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』は、レーエンデという国の歴史や文化を探求する物語です。

レーエンデは、かつては外部の人間を寄せ付けない不可侵の土地でしたが、現在は帝国の支配下におかれて衰退しています。

第3巻の時代のレーエンデの人々は、昔、自分たちの国になにが起こったのか、真実を忘れてしまっています。

この本のテーマは、歴史や文化の重要性と、それを伝える方法です。歴史や文化は、人々の価値観を形成するものです。

歴史や文化を忘れると人々は自分たちのルーツや目的を見失ってしまいますが、歴史や文化を伝えるには、様々な方法があります。

この本では、歌や戯曲という芸術の力が強調されていて、歌や戯曲は人々の感情や想像力に訴えられると双子の兄弟は行動を起こします。

この本では、テッサ・ダールという英雄の真実を探る旅が描かれています。

テッサは「レーエンデに自由を」と人々を勇気づけた伝説の人物ですが、その正体や動機は謎に包まれています。

リーアンとアーロウは、テッサの真実を知るためにレーエンデの各地を旅します。

旅の途中で、二人はテッサの存在が人々にどのように受け入れられたか、どのように影響を与えたかを知ります。

そして、テッサがレーエンデの歴史にどのような役割を果たしたかを知ります。

この本のメッセージは、人々の意識を変えるには真実だけではなく、想像力や感動も必要だということです。

歴史や文化を伝えるには、真実を探るだけではなく、真実を表現する方法も考える必要があります。

この本は、歴史や文化を伝える芸術家たちの苦悩や葛藤、そして希望や夢を描いた感動的な物語です。

著者について

多崎礼さんは、日本のファンタジー作家です。2006年に『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビューしました。

その後、数々のファンタジー小説を発表し、高い評価を得ています。

多崎礼さんの作品は、緻密な世界観や魅力的なキャラクター、感動的なストーリーが特徴です。

評価や評判

『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』は、読者から高い評価を受けています。Amazon.co.jpで5つ星中4.5の高い評価を得ており、発売から約1か月で20件以上のレビューがあります。

評価や評判は、以下のようにまとめられます。

物語の展開や登場人物の感情描写に引き込まれたという感想が多い
・一方で、前作と比べて戦闘シーンが少なく、スピード感やワクワク感が不足していると感じた読者もいる
・作品の世界観や設定については、シリーズの完結に向けて、もっと詳細な情報がほしいという要望もある
・作品のイラストやカードについては、美しくて気に入ったという声が多く、グッズ化されたら欲しいという希望もある

ファンタジー小説のファンはもちろん、歴史や文化に興味のある人にもおすすめです。

読んだ感想

私は、3巻の『喝采か沈黙か』を読む前に、『レーエンデ国物語』のシリーズの第1巻と第2巻を読んでいます。

私は、レーエンデの世界が繊細に描かれているところが気に入っていて、今回はどんな話になるのかと期待と不安がありながら読みました。

1巻は父と娘、英雄に憧れる少年と少女、英雄と射手のストーリー。2巻は肉体派の少女と頭脳派の少年、長期的な視点を持つ者たちと短期的な視点を持つ者たち、そして兄と弟のストーリーでした。

今回は、第2巻に登場する英雄テッサの真実を探る旅を描いています。

前作を読んでいるため、テッサにまつわるストーリーが、どのように後世の時代である第3巻に伝わっているかが気になりながら読み進めました。

今作はイジョルニ帝国が支配するレーエンデで暮らす、リーアンとアーロウという双子の物語です。

自己中心で物事を考える性格ながらも劇作家としては天才のリーアン(兄)と、自分以外の人のことをまず第一に考える性格でありながら、自信がなく戯曲を書く能力はそこそこのアーロウ(弟)。

容姿はそっくりでも正反対な性質を持つ二人は、英雄を題材にした戯曲を作るために旅にでます。

1、2巻と続いて双子の様子やレーエンデの各地方の描写が細やかで、本書に載っている地図を見ながら二人の足取りをみていると、双子の旅に同行しているような気分になりました。

禁忌である英雄を題材にした戯曲を作る過程で、リーアンとアーロウの成長がみられます。

今作の魅力は双子の成長と、これまでの武力による闘いではなく、人々の意識から変革を起こそうとする、創作を通しての「静か」な闘いです。

また、これは私が購入した2023年11月現在の情報ですが、第3巻には付録としてスペシャルストーリーがついてきました。

第1巻に登場するユリアとトリスタン、第2巻のテッサとルーチェそれぞれの「とある日」の物語です。

今年読んだばかりなのに、すでに「二人にはこんな日常があったのか」と懐かしく、ほほえましくも思えるお話でした。

おすすめの読者層

  • ファンタジー小説が好きな人
  • 歴史や文化が好きな人
  • 芸術や音楽が好きな人
  • 感動的な物語が好きな人

『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』は、ファンタジー小説のファンはもちろん、歴史や文化に興味のある人にもおすすめです。

この本は、レーエンデという架空の国の歴史や文化を探求する物語ですが、それは、私たちの現実の歴史や文化にも通じるものがあると思います。

人々の意識を変えるためには、真実だけではなく、想像力や感動も必要だということを教えてくれます。

そして、歴史や文化を伝える芸術家たちの姿に、共感や尊敬の念を抱かせてくれます。この本は、歴史や文化に関する感性を豊かにしてくれるのではないでしょうか。

この本は、年齢や性別に関係なく、幅広い読者層が楽しめると思います。

まとめ

以上、『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』を紹介しました。

この本は、レーエンデという国の歴史や文化を探求する物語です。リーアンとアーロウの兄弟が、レーエンデの英雄であるテッサの真実を探る旅を描いています。

この本は、歴史や文化を伝える芸術家たちの姿に、共感や尊敬の念を抱かせてくれます。

ファンタジー小説のファンはもちろん、歴史や文化に興味のある人にもおすすめです。

皆さんにも読んでほしい一冊です。この本を読んで、ぜひレーエンデの世界を旅してみてください。

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